序章

Three Tents

それから六日たって、イエスは、ペテロとヤコブとヨハネだけを連れて、高い山に導いて行かれた。そして彼らの目の前で御姿が変わった。その御衣は、非常に白く光り、世のさらし屋では、とてもできないほどの白さであった。また、エリヤが、モーセとともに現われ、彼らはイエスと語り合っていた。

すると、ペテロが口出ししてイエスに言った。「先生。私たちがここにいることは、すばらしいことです。私たちが、幕屋を三つ造ります。あなたのために一つ、モーセのために一つ、エリヤのために一つ。」

そのとき雲がわき起こってその人々をおおい、雲の中から、「これは、わたしの愛する子である。彼の言うことを聞きなさい。」という声がした。

— マタイ17:1-5

 神学は文字の通り、神様について学ぶことです。愛する相手をよく知りたいという気持ちの表現の一つです。神を愛することは、神の性質、人格、特徴などを知りたくなるのは当然なことです。また、知らないと恐れるが、知ると確信するものもたくさんあると同時に、神について正しい理解の土台に立つと揺るぎません。私達を作った神を知ることによって、喜びが増えます。その知識があれば、次の人にも伝えやすくなります。

 神学する方法はいくつかありますが、私は聖書を知ること以上の知り方はないと思います。聖書は神の御言葉であり、神様が私たちが神様を知ることができるように与えられたものです。聖書神学は聖書の内容をよく読み、よくその意味について考え、祈りながら自分の生き方に適応し、御言葉を通して神様の声を聞くことです。

ちょうどこの日、ふたりの弟子が、エルサレムから十一キロメートル余り離れたエマオという村に行く途中であった。そして、ふたりでこのいっさいの出来事について話し合っていた。話し合ったり、論じ合ったりしているうちに、イエスご自身が近づいて、彼らとともに道を歩いておられた。しかしふたりの目はさえぎられていて、イエスだとはわからなかった。イエスは彼らに言われた。「歩きながらふたりで話し合っているその話は、何のことですか。」すると、ふたりは暗い顔つきになって、立ち止まった。

クレオパというほうが答えて言った。「エルサレムにいながら、近ごろそこで起こった事を、あなただけが知らなかったのですか。」

イエスが、「どんな事ですか。」と聞かれると、ふたりは答えた。

「ナザレ人イエスのことです。この方は、神とすべての民の前で、行ないにもことばにも力のある預言者でした。それなのに、私たちの祭司長や指導者たちは、この方を引き渡して、死刑に定め、十字架につけたのです。しかし私たちは、この方こそイスラエルを贖ってくださるはずだ、と望みをかけていました。事実、そればかりでなく、その事があってから三日目になりますが、また仲間の女たちが私たちを驚かせました。その女たちは朝早く墓に行ってみましたが、イエスのからだが見当たらないので、戻って来ました。そして御使いたちの幻を見たが、御使いたちがイエスは生きておられると告げた、と言うのです。それで、仲間の何人かが墓に行ってみたのですが、はたして女たちの言ったとおりで、イエスさまは見当たらなかった、というのです。」

するとイエスは言われた。「ああ、愚かな人たち。預言者たちの言ったすべてを信じない、心の鈍い人たち。キリストは、必ず、そのような苦しみを受けて、それから、彼の栄光にはいるはずではなかったのですか。」

それから、イエスは、モーセおよびすべての預言者から始めて、聖書全体の中で、ご自分について書いてある事がらを彼らに説き明かされた。

— ルカ 24:13-27

 この基礎編の内容は、信仰の視点と聖書の権威を前提とし、三つの内容を学びます。まず、聖書全体を通してみるイエスについて語っていることを聖書概要から学びます。また、律法と預言者の内容を一緒に考えたいと思います。御姿が変わったイエスと現れたモーセは律法の代表です。

 同じように、エリヤは預言者の代表です。私達が「旧約聖書」と呼んでいる39書物はキリスト教がユダヤ教から受け継ぐものですが、ユダヤ教の中では「Tanakh」と呼んでいます。これも、この聖書の3つに分けるパターンを表す略称です。「Tanakh」の「T」は「Torah」(ヘブル語で「律法」)の頭文字です。「Tanakh」の「N」は「Naviim」(ヘブル語で「預言者」)の頭文字です。「Tanakh」の「K」は「Ketuviim」(ヘブル語で「文章」=「書き記された証」)の頭文字です。

 この三つの面をとりあげて、学んでいきたいと思います。

Three Tentsの読み方

 このホームページに載せた内容はまず、省略されていて、箇条書きの形になっている部分もあることについて、ご了承ください。細かい説明は拓成学院の授業で聞けます。是非、参加することを検討していただきたいです。

 それぞれの内容の理解をさらに深まるために、是非並行して読んでほしい本があります。その内容を「リーディングプラン」として挙げられます。

 そして、コマごとに、質問もつけていきます。その質問の答えは場合によって、コマのテキストや授業の内容にもなく、自分で読んで考えていただきたいと思います。

感謝の言葉

 このように聖書神学をまとめるまでに大きく助けてくれたいくつかの方々に感謝を表したいです。

  • 救い主イエスキリスト

  • いつも応援してくださっている恵に、愛と感謝

  • 私に福音を伝え、聖書神学を教えて、そして宣教師として送り出したGateway Church (Prince George, BC, Canada)

  • 聖書をさらに勉強する機会を与えた東京神学校と尾山令仁先生

  • 将来が見えなくなって迷っていた時に私を信じてくれたニューハートフェローシップのメンバーたち